買取のメリット情報
“まち・みせ・ひと”の動き、一見両極に位置する二つの情報を視野に入れた上で、近未来に求められるライフスタイルはどちらに向いているのか、そのなかで求められるものは何なのか。
これを突き詰める眼力こそが求められている。
つまり、近未来のライフスタイルを予測するファッショントレント情報を知っていること。
“まち・みせ・ひと”の情報を皮膚感で感じとっていること。
双方を視野に入れる必要があるということだ。
現状をスキャンする調査には意味がないここー〇年ほどは、何か売れるかわからない、先行きが見えない不透明な時代が続いている。
それだけに、確実に売れる商品・売り場が必要ということで、顧客満足が高い商品、お客が求める売り場を作ろうという動きが顕著だ。
たとえば「どんな商品が欲しいか」を消費者にヒアリングしてから作る。
いくつかの試作品を作って消費者に選んでもらう。
そんなモノ作りの手法がとられるようになってきた。
しかし、果たしてこういうプロセスが正しいのかどうかは、かねがね疑問に思ってきた。
消費者は、自分の「何か欲しい」という欲望を具体的に描けるものなのか。
こんなクルマが欲しい、こんな冷蔵庫が欲しいということを、いつも考えて暮らしているのだろうか。
つまり、調査の現場でヒアリングされて出てきた答えを、そのままそっくりモノ作りに反映させるのはいかがなものかと思うのだ。
逆に、そこまで消費者が答えを出してくれるならば、モノやサービスの送り手サイドの役割はどうなってしまうのだろう。
消費者の意見を形にするだけなら、別に専門家の技はいらないのではないか。
使い手の視点に立って、さまざまな業界で「プロ」としての技を持っている人だちと仕事してきた立場から見ると、何とも納得のいかない状況がそこここで見受けられるのだ。
たとえばクルマや家電の色使い。
随分変わってきてはいるものの、色を決めるプロセスを聞いて驚くことは少なくない。
今の売れ筋カラーと新色を取り混ぜたカラーボードを一般消費者に見せて、アンケート調査を実施し、その結果に基づいて色を決めることは、割合当たり前におこなわれているという。
恐らく、聞かれた消費者は、なんとなく街で見たことがある色の方が、見たこともない色よりも馴染みがある。
そのため、見たことがある色を選ぶ確率が高くなることは容易に想像できるのだ。
結果、デザイナーが提案した新色が落ちて、今の売れ筋カラーが採用されたという事例も聞いたことがある。
確かに莫大なコストがかかり、ロットも大きな商品だけに、リスク回避が必要な事情はよくわかる。
裏づけとなるデータはある程度必要だ。
そして、そのために消費者にヒアリングすることも正しい手順と言える。
しかし、調査だけをペースにして、すべてを決めていくことの意味を問う必要はあるだろう。
調査をすべての根拠にしてしまうのは、クリエイティブなモノ作りではない。
消費者のヒアリングから出てくるのは、あくまで「現状のスキャン」にしか過ぎないからだ。
近未来に世に送り出す新商品について、「現状のスキャン」を土台にするということは、今の市場が近未来にもほとんど変わらないことを前提としている。
しかし、今はそういう時代でなくなっていることは自明の理だ。
目まぐるしく転換している市場トレントをいかに敏感に察知するか。
その上で優位性を図るために、新しいことに挑戦する姿勢こそが必要なのだ。
かと思えば、逆を行くようなよい事例もある。
モデルチェンジされたホンダ「ライフ」では、かわいらしいパステルカラーやパールカラーを揃えてきた従来路線を変えて、あえてマット感の強いクールな色を全面的に打ち出した。
これは、消費者調査の結果だけでなく、化粧品、家具、洋服、プロダクツ、グラフィックなど、各分野の外部クリエイターを交えてディスカッションして生み出したものだ。
調査結果では、相変わらずパステルカラーやパール感の強い色へのニーズが高かったという。
が、開発チームでディスカッションした結果、思い切ってマット感のある色を採用した。
結果、好反応を得ることができたということだ。
現状のバックグラウンドを踏まえた上で、近未来の人びとの欲望をキャッチするこそ、クリエイティブなマーケティングの意味はある。
実は、洋服はその先端を行く領域なのだ。
そこに買い物に行く時に、人は果たして「こんな服が欲しい」という具体的なアイディアを持って店を訪れるものだろうか。
それよりも、なんとなくスカートが欲しい。
ジャケットが欲しいと思って訪れ、気分にフィットしたものと出会った時に、手を伸ばすのではないだろうか。
たとえば商品を買いつけてくるバイヤーという仕事は、マーケティングデータに基づいておこなわれるものではない。
Mは、「自分が確信を持っていいと思ったものがヒットにつながることは少なくない」と言う。
いきなりバイヤーに抜擢された時も、最初の買いつけは失敗だった。
しかし、そこから「前任者の作った形を伸ばそう、広げようという考えをやめた。
音楽が好きだったので、音が聞こえるような服という視点から選んでみた」。
それが、スリー・ペットやトッカなど、時代の先駆けとなるデザイナー商品の買いつけにつながっていった。
なんとなく欲しいと思ったけれど、今まではなかったもの。
新鮮な気分を感じるもの。
それを目の前に出された時に、人は触手を伸ばす。
その気分を察知できる能力が、ファッションーマーケティングには求められるわけだ。
顕在化していない人びとの欲望をキャッチして、商品・売り場開発につなげること。
このフアッションーマーケティングの考え方こそは、これからますます求められていく方向性だ。
これだけモノが氾濫している市場で勝ち抜いていくには、さらなるクリエイティブへの努力こそが必要だろう。
Bでは、次に説明するように、流行に気づくタイミングでマーケットを区分しており、半歩先をいく提案を常に続けている。
人びとの潜在的な欲望を形にして見せたからこそ、成功につながったのだ。
“気づきのタイムラグ”「ターゲットの区分が明確にできな企業からよく相談される課題だ。
い」「お客の顔が見えない」といった言葉は、さまざまな戦後から九〇年代中盤くらいまでは、右肩上がりの経済成長を土台とした、世代マーケティングやライフステージーマーケティングが有効に機能していた。
世代マーケティングでは、同じような時期に生まれた人たちは、部分的に共通化できる時代環境や消費経験を通過している。
ゆえに、世代としての刷り込みをもとに、「各世代における今」をコンセプトに盛り込んで、ある程度のパイを獲得しようとする手法だ。
たとえば、かつて若い頃に若者文化を築き、「若々しさ願望」が強い団塊世代に向けて、新しいミセスブランドを立ち上げる。
雑誌をお手本に育ってきたハナコ世代に向けて、新しい四〇代向け雑誌を出すといった考え方だ。
一方、ライフステージーマーケティングで言うと、親元を独立してシングルライフを送り、結婚して家庭を築いて、やがて子供が自立して再び夫婦だけの生活になる。
こういったストーリーに基づいたマーケティングがおこなわれる。
ゆえに、家族サイズに合わせて、必要とされるものを提供する。
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